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バーンスタインのバッハ、ヴィヴァルディ

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バーンスタインのバッハ、ヴィヴァルディ

曲目/
バッハ/ヴァイオリン協奏曲 第2番 ホ長調 BWV.1042
1. Allegro 8:33
2. Adagio 7:25
3. Allegro Assai 3:02
ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲 ハ短調 BWV.1060
1. Allegro 6:00
2. Adagio 6:58
3. Allegro 4:09
ヴィヴァルディ/ピッコロ協奏曲 ハ長調 RV.443
1. Allegro 4:20
2. Largo 4:05
3. Allegro Molto 3:18
バッハ/ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 BWV.1052*
1. Allegro 8:38
2. Adagio 7:10
3. Allegro 8:18

ヴァイオリン/アイザック・スターン
オーボエ/ハロルド・ゴーンバーグ
ピッコロ/ウィルヘルム・へイン
ピアノ/グレン・グールド*
指揮・チェンバロ/レナード・バーンスタイン
演奏/ニューヨーク・フィルハーモニック
  コロムビア交響楽団*

録音/1966/02/16
  1966/02/07 フィルハーモニー・ホール
  1958/12/15 ジョージ・ホテル、ブルックリン
  1957/0/04,30 コロムビア30番街スタジオ、ニューヨーク

P:ジョン・マックルーア、ダヴィッド・オッペンハイム、ハワード・H・スコット*

SONY 88843013302-01

イメージ 1
 

 バーンスタインは結構レパートリーの広い人でしたが、バッハの作品はあまり録音を残していません。彼のディスコグラフィで確認すると、今回取り上げたCDに収録された作品以外では「マタイ受難曲」と「マニフィカートBWV.243」、「イースター・オラトリオBWV.249」というちょっと変わった曲目しか録音していません。プライベート盤ではブランデンブルク協奏曲第5番もあるようですが未聴です。まあ、これはバーンスタインがユダヤ人ということも影響しているのかもしれません。

 このCDで一番の注目は何といっても最後に収録されているグールドとのピアノ協奏曲なんでしょうが、小生はあまり興味がありません。そもそも、あまりグレン・グールドに興味が無いのですからしょうがありません。

 最初はスターンの独奏によるヴァイオリン協奏曲の第2番です。スターンのバッハは何種類もあるのですが、バックをサポートするメンバーはバラバラです。でも、テンポはほとんど変わっていないということは、この遅めのテンポはスターンによる指定なんでしょう。こうして聴くと一時代前の演奏で、どっしりとしたテンポで名人芸を楽しむスタイルになっています。1960年代半ばまではバッハの作品もこういう曲目が中心で、ほとんど名曲路線しか録音されていなかったことが分ります。で、改めてこのアルバムを聴いて感じたことは、映画と深く関わりがあるなぁということです。このヴァイオリン協奏曲第2番は、チェンバロ協奏曲第3番と同一の曲で、こちらの方は1971年の映画「ある愛の詩」で使われて、一躍ポピュラーになりました。まあ、個人的にはこの時代、映画によって初めてこのバッハの名曲を知ったわけです。また、3曲目に収録されているウィヴァルディのピッコロ協奏曲の第2楽章はトリフォーの「野生の少年(1970)」に使われていました。ということで、この曲も映画でこのヴィヴァルディの作品ということを知りました。

 さて、このCDの特徴はバロック作品ということで、ピアノ協奏曲を除いて通奏低音としてチェンバロが使われています。ジャケットにはバッハの作品のみがバーンスタインと記載されていますが、どう見てもヴィヴァルディのピッコロ協奏曲もバーンスタインがチェンバロを弾いています。カラヤンも、ヴィヴァルディの「四季」を録音したときはチェンバロを弾いていますからまあ、それと同じようなものでしょう。カラヤンは1972年の録音ですから、バーンスタインも四季を録音していますが、それは1964年でかなり早くに録音していたことになります。このヴィヴァルディのピッコロ協奏曲はそれよりも古い1950年代の録音ですから、シンフォニーオーケストラを使って録音したものとしては最初期のものではないでしょうか。ただ、弾き振りというポジションはまったく振れられていません。まあ、録音も通奏低音が目立つものにはなっていません。

 これらの録音、演奏に付いて今感じることはバロック音楽がどちらかというとムードミュージック的な雰囲気で演奏されているということでしょうか。テンポは総じてゆっくりで、まだ、バッハだのヴィヴァルディの作品がこの時代それほど認知されていないことが伺えます。確かにミュンヒンガーやリヒターが室内オーケストラ規模で等身大の演奏を始めていますが、それとてどこかしら似たような重厚でありながらソフトな雰囲気を持っていた様な気がします。

 個人的にはバーンスタインのこれらの録音を初めて聴いて、バロックはシンフォニー指揮者には手に余る産物ということを再認識させてくれたようなものです。でも、好きか嫌いかというと好きな演奏なんでしょうね。聴いていてついついまどろんでしまうんですから。まあ、このオーボエとピッコロはオーケストラの団員がソロをとっていることから推してもバーンスタインの解釈のテンポということが解ろうというものですが、演奏自体はどちらかというと平板で面白みに欠けます。

 ただし、やはりラストに収録されているバッハのピアノ協奏曲はちょいと違います。本来ならチェンバロ協奏曲なんですが、グールドがピアノを弾くということで様式的には古典派の作品の趣きがあります。ここではバーンスタインは指揮だけに専任し、きっちりとグールドをサポートしています。この演奏は映像も残っていて、その様子を垣間見ることが出来ます。

 

 この時期グールドは余程バッハのピアノ協奏曲に執心していたのでしょうか、映像ではオタワ交響楽団との共演も映像に残っています。バーンスタインの録音と比較しても、この曲がグールドの主体のテンポで押し進められていることが分ります。

 
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