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ワルター・ゲールのチャイコフスキー

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ワルター・ゲールのチャイコフスキー

曲目:チャイコフスキー
バレー音楽「白鳥の湖」 より 
1.シーン(モデラート・第2幕)
2.ワルツ(第1幕)
3.小さい白鳥たちの踊り
4.シーン(アンダンテ・第2幕)
5.ハンガリー舞曲
6.シーン(アレグロ・アジタート・第4幕)
バレー音楽「眠りの森の美女」 より 
1.序奏とリラの精
2.ばらのアダージョ
3.パ・ド・キャラクテル(長靴をはいた猫と白い猫)
4.パノラマ
5.ワルツ(第1幕)
6.パ・ド・カトル

指揮/ワルター・ゲール
演奏/ローマ歌劇場管弦楽団

録音/1958頃

コンサートホール SM-2156A

イメージ 1
 

 このレコード、ジャケット裏の解説は藁科雅美氏が書いていますが、そこにはゲールが昨年に亡くなったと書いてあるので、1961年頃の発売ということになります。ワルター・ゲール(Walter Goehr, 1903年5月28日 ベルリン - 1960年12月4日 英国シェフィールド)はドイツ出身のユダヤ系作曲家、指揮者でユダヤ系のアルノルト・シェーンベルクの門弟の一人で、英国の作曲家アレクサンダー・ゲールの父ということです。ユダヤ系という理由でナチスの弾圧を避けるために英国に亡命した後は、指揮者として永らく活動しました。指揮者としては、協奏曲における伴奏指揮者として知られたほか、ロシア音楽を中心に国民楽派的な作品を得意としていました1946-49年はBBC劇場管弦楽団(当時)の指揮者を務めています。そんな関係で、モンテヴェルディの「ポッペアの戴冠」やヘンデルの「ジュリアス・シーザー」なんかの録音を残しています。また、ラヴェルに先駆けて《展覧会の絵》のオーケストレーションを試みた一人としても知られていました。ただし、この編曲のレコードは出ていないようです。


 ついでに、「コンサートホール・ソサエティ」は、クラシック音楽を中心とする通販専門のレコード会社でした。コンサート・ホールは1947年にスイスのジュネーブで創設されまた。後にオランダの製薬会社「ヴェンチュレックス」の配下となり、そこの社長がDGG(ドイツ・グラモフォン)の役員でもあり、60年代始め頃にDGGよりプロデューサーを入れ、また、指揮者兼プロデューサーでもあるジョセフォヴィッツも加わり黄金期をむかえました。会員制の廉価販売によりアメリカや日本へと販路を広げ、一時は世界最大の通販会社となります。大手レコード会社との契約が切れる著名アーティスト達に着目し、芸術的水準の高い音源を多数発表しました。日本国内では、1950年頃から日本メールオーダーとの提携により会員向け販売が行われたようで、手元に有る1956年発行の「現代演奏家事典(渡邊護著)」には既にゲールのモノラル時代のレコードが数々紹介されています。しかし、肝心の日本メールオーダーは2009年5月に倒産していて情報の裏を取ることが出来ませんでした。

 一部の情報によると、この盤が記念すべきコンサート・ホール・レーベル初のステレオ・リリースということです。コンサートホールは欧米と歩調を合わせた新譜発売はしていませんでしたから、よく知られた名曲から発売をしていっていたのかもしれません。録音は1958年ということで、この時期、コンサート・ホールはローマでいくつかのイタリア・オペラ録音を行っており、それを機に当時各社から出始めてきていたステレオ盤のリリースを企画し、その際このステレオ録音も行われたのではないかと思われます。

 そんなこともあり、期待してターンテーブルに載せたのですが、正直ちょっと期待はずれでした。音質は、ステレオ初期に見られる左右の広がりを強調したもので、さらに、レンジが広くないというお決まりのサウンドで、音質的には期待出来ません。多分実験的な録音とでもいうべきレベルのもので、弦の数もかなり絞り込んだ演奏です。第1ヴァイオリンがやけに強調されたバランスで低域は押さえられています。また、金管が右側に配置されておりややいびつなバランスです。さらに第1曲の情景のオーボエのソロはびっくりするほど下手で何の情緒も感じられません。録音のせいもあるのでしょうが、息継ぎがへたくそで、まるでアマチュアです。このオーケストラほんとにローマ歌劇場のオーケストラなんでしょうかね?と疑いたくなるような演奏です。

 ネットでは、この演奏を賞讃する意見が多いのですが、小生の印象はまるで逆になってしまいました。

 コンサートホールはステレオとモノラルのレコードを同時にリリースしていました。同時期、海外盤はほとんどがモノラルでステレオにお目にかかることはまず困難です。そのため、ジャケットはモノのものを流用し、「full STEREO」の部分をシールで張っているものが初期には存在しました。小生が記憶にあるところでは、1960年代後半は、ステレオ盤が1,350円、モノラル盤が1,150円だったように思います。ただし、このレコードは定価の表示はありません。

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