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森正のラフマニノフ

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森正のラフマニノフ

曲目/ラフマニノフ
交響曲第2番ホ短調op.27
1.第1楽章 Largo - Allegro Moderato 16:48
2.第2楽章 Scherzo: Allegro Molto 9:14
3.第3楽章 Adagio 10:16
4.第4楽章 Allegro Vivace 11:30

指揮/森正
演奏/名古屋フィルハーモニー交響楽団

録音/1980/06/21 名古屋市民会館大ホール

名フィル B-2711

イメージ 1
 

 学生の頃は名フィルの演奏はよく聴きにいっていました。まあ、自由に時間を使うことが出来ましたからねぇ。第1回の定期演奏会から知っています。しかし、今wikiを検索してもこの頃の指揮者の名前は清田健一氏だったんですが出て来ません。どうしてなんでしょうねぇ。初代音楽監督は故岩城宏之氏でした。そして、第2台の音楽監督がこの森正氏なんです。といっても今知ってる人は少ないでしょうな。個人的にはこの頃が一番メ手フィルを聴いていました。常任指揮者は福村芳一でした。若くてかっこいい指揮者でしたが、ほどなくしてイタリアへ留学するとかいって辞めてしまいました。コマーシャリズムの中には登場しません。今は東南アジアを拠点に活躍していて、ほとんど日本にはいませんから忘れ去られていますが、アジアや中南米ではメジャーな存在です。この人の弟はジャズのトロンボーン奏者で「ネイティブ・サン」でも活躍した福村博です。

 さて、森正氏はフルート奏者で吉田雅夫と並ぶ名手として活躍していたのは懐かしい話です。指揮法は齋藤秀雄に学んでいますから小沢征爾と同門という事になります。ただし、森さんの指揮は端正でリアルタイムで聴いていたときは、どちらかというと小さく纏まりすぎているなぁという印象が強かったのを覚えています。そんな中、この人の指揮で聴いたフランクの交響曲ニ短調は今思い出しても実に雄弁な演奏だったのを覚えています。このCDの演奏は記憶が無いのですが、名フィルの音楽監督の最後のシーズンでの演奏ということになります。

 

 この演奏は第71回の定期演奏会の記録で、音楽監督として最後の演奏となったものです。多分名フィルとしては初めてラフマニノフの交響曲を取り上げたと思われますが、この当時は短縮版で演奏されるのが常であったようで、第1楽章の提示部はカットされています。たたし、演奏は名フィルにしてはどっしりとした演奏で、この演奏が名古屋フィルハーモニー交響楽団40周年を記念して企画された歴代指揮者によるライヴ名演集の第1弾として発売されたことの意味が理解出来ようというものです。森正氏の指揮ぶりはあまり映像で残っていないのが残念ですが、下記にありましたので貼付けておきます。映像の後半に登場しますが、演奏がNHK交響楽団ということでコンマスの若き日の海野義雄氏が確認出来ます。でも、この指揮ぶり、小生のイメージと違ってなかなかアクティヴです。前半の近衛秀麿氏の方が野暮ったく見えます。

 

短縮版ということもあって、演奏にダレが無くぎゅっと引き締まった演奏になっています。この当時の名フィルは金管が貧弱で、ホルンなんか直ぐひっくり返った音を出していたのですが、さすが森さんが音楽監督としてきっちりまとめあげているようで、このラフマニノフではそういう大きな瑕疵はありません。この演奏、ティンパニの扱いが強烈で、最後なんかティンパニの一撃でばしっと決めています。

 第2楽章は弦楽器のキビキビとした演奏が光ります。まあ、アンサンブルの纏まりは今一歩というところがありますが、一丸となって音楽を作り上げている姿勢は評価で来ます。

 一般にラフマニノフの交響曲第2番は第3楽章のオーボエのソロが聴きものなんですが、ここでも、良いソロが聴けます。ただし、ここでもカット版のため演奏は短縮されています。まあ、この短縮版は作曲者が自ら校訂したものですから、まったく違和感はありません。今では完全全曲版で演奏されるのが当たり前になっていますが、全曲版の冗長さはやはりあるので帰って引き締まった表現の短縮版の方が作品的には楽しめるかもしれません。

 ど派手なティンパニの打ち込みで開始される第4楽章は先行楽章の動機や主題が集約的に総括される形になっています。そういう意味ではこの曲の醍醐味を四郎とするならこの第4楽章をきくのが手っ取り早いのかもしれません。最後まで、熱のこもった演奏で一気に聴いてしまいました。その昔、プレヴィン/ロンドン響でこの曲の完全全曲版の演奏を初めて聴いたときはそれこそ眠たくなるような演奏で、一度聴いただけでお蔵入りさせました。それに比べるとこの演奏は遥かにマシです。

 ところで、森正氏はラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を1954年に日本初演を東京交響楽団と行なっています。ある意味思い入れのある作曲家なのかもしれません。このCD、既に廃盤なんでしょうが、1枚1000円で販売されていました。タワーレコード辺りが日本の指揮者シリーズでもって、こういう録音を復活させてくれるとありがたいんですがねぇ。
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