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ラヴェル/歌劇「子供と魔法」 小沢征爾

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ラヴェル/歌劇「子供と魔法」 小沢征爾

曲目/ラヴェル
1.第1部 序奏-「宿題なんかやりたくない」(こども、母親) 4:39
2.第1部 「安楽椅子嬢、お手を」(肘掛椅子、安楽椅子、家具) 1:48
3.第1部 「ディン、ディン、ディン、ディン」(大時計、こども) 1:27
4.第1部 「ご機嫌いかが?」(ティーポット、中国茶碗) 3:14
5.第1部 「お下がり!」(火、こども、羊飼いの男たち、羊飼いの娘たち) 5:54
6.第1部 「アーッ!あの娘だ!あの娘だ!」(こども、お姫さま) 6:45
7.第1部 「2本の蛇口からひとつの桶に水が流れる!」(小さな老人、こども、数字たち) 3:00
8.第1部 猫のニャンニャン二重唱 1:40
9.第1部 昆虫、雨蛙、ひき蛙の大合唱 第2部 「ああ!お庭さんにまた会えて、うれしいよ!」(こども、木、他の木たち) 2:50
10.第2部 「君はどこにいるのかい?」(トンボ、ウグイス、こども、コウモリ) 4:45
11.第2部 「逃げなさい、お馬鹿さん!籠は?籠はどこ?」(リス、雨蛙、こども) 3:46
12.第2部 「彼は傷の手当をした…」(動物たち、こども) 5:04

子供/イザベル・レナード
肘掛椅子、木/ポール・ガイ
母親、中国茶碗、とんぼ/イヴォンヌ・ネフ
火、お姫様、うぐいす/アナ・クリスティ
雌猫、りす/マリー・ルノルマン
大時計、雄猫/エリオット・マドア
SKF松本合唱団,SKF松本児童合唱団、他

指揮/小沢征爾
演奏/サイトウキネン・オーケストラ

録音/2013/08/23,25,28,31 松本市民芸術館

P:ドミニク・ファイフェ
E:ジョナサン・ストークス、内藤祐助、川島龍、山崎由香

DECCA UCCD-1403

イメージ 1
 

 世界最高峰の音楽の祭典「第58回グラミー賞」の発表・授賞式が2月15日米ロサンゼルスで開かれ、日本からは指揮者の小澤征爾氏が最優秀オペラ録音部門でこのアルバムが受賞したことが話題になりました。これまで1969年以来7つのアルバムでグラミー賞にノミネートされていましたが、受賞は今回が初めてです。また、これまでのノミネート作品はいずれも海外録音作品となりますが、今回は日本で録音されたアルバムとして初めてのノミネート、受賞となりました。そういう意味でも快挙です。

 ライブということで傷があります。というか、舞台ノイズが当然入っています。これは当然といえば当然です。ですから本来なら映像付きで鑑賞した方がいいのは当然です。それでも、このアルバムがグラミー賞を獲得したということは、ノイズもこのオペラに取っては作品ということが評価されたということなのでしょう。

 

 上の映像でも、舞台上での演出が確認出来ますが、舞台上のアクションノイズを拾うのは当然といえます。ところが、この作品はNHKでオンエアされましたがDVDとしては発売されていないんですなぁ。2012年は病気の為に同フェスティバルで指揮姿を見せなかった小沢征爾氏ですが、復活を印象付けた2013年のオペラ上演でした。50分にも満たない作品ですが、子供が主人公のファンタジーで、ラヴェルの色彩豊かなスコアをサイトウ・キネン・オーケストラが見事に再現しています。実はこのラヴェルの「子供と魔法」は小沢氏がパリのオペラ座でデビューした時のオペラということで、この作品はとても思い入れの深いオペラであるはずです。

 そんなこともあってか、この上演の後の2015年には<小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトXIII>として各地で上演されています。その際のプログラムが、

ベートーヴェン「交響曲第二番」op.36
ラヴェル「子供と魔法」

 ということで、奇妙な組み合わせですが、上演されています。昨年の骨折の際も、プログラムがブラームスからベートーヴェンに変更されたのもこの下地があってのことでしょう。

 ラヴェルの作品ということで、管弦楽法はみごとで、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような面白さがあります。ストーリーは、ママに勉強しなさい、勉強しなさいと怒られて、部屋の中のモノに当たり散らす子供。すると子供が投げ散らかした教科書や猫や中国茶碗が子供に復讐。教科書からは数学の先生が飛び出して難問を連続出題、猫は巨大化して子供の頭を鞠代わりにゴロゴロ、中国茶碗はブルースにのって「ハラキリ、雪舟早川~♪」とデタラメな日本語で歌いだします。最後はママが現れて魔法から救われる、という楽しい筋書のオペラです。

 このラヴェルの色彩豊かな管弦楽の中、ファンタジーあふれた演出での歌手達の卓越したユーモアつつまれた声の花束を楽しむアルバムに仕上っています。小澤氏はグラモフォンにラヴェルの管弦楽作品を大量に録音していますが、少々生真面目な演奏でリズミカルではあるのですがややエスプリに欠けるきらいがあったのですが、さすが世界のプレーヤーを擁したサイトウキネンの演奏はこれまでの殻を打ち破り、そこにプラスαの要素を加えてラヴェルの世界を表現しています。今回のアルバムはそういう部分が評価されての受賞になった様な気がします。

 この作品を最初に知ったのはアンセルメ/スイス・ロマンドOの演奏によるレコードでした。1954年10月収録というステレオ最初期の録音ですが、アンセルメらしいクールで知的な演奏でした。ただ、このオペラの楽しさはレコードだけでは伝わらないことを思い知った一枚で、手にしたのが輸入盤で対訳も何も無く、今のようにネットで検索することも出来ない時代でしたから、こういう作品があるんだという印象しか残っていませんでした。

 このCDではちゃんと課した意訳が付いています。ただし、何故か読みにくい活字で印刷されています。まあ、CD仕様ですから字が小さいのも年を取るとしんどいですなぁ。ここはやはり、映像で字幕付きで発売して欲しいものです。NHKが版権を持っているとは思いますが、是非ともこの話題性があるうちに発売して欲しいものです。50分弱の収録は短いですが、是非とも、破格の価格で発売して万人に入手しやすい形で発売して欲しいものです。

 そうそう、国内盤のCDはSHM仕様で発売されています。

 ネットで色々検索していたら、「執念」というNHKスペシャルの映像が引っかかりました。このオペラの録音の前振りとして、貼付けておきます。

 



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