日展東海展-日本画 |
2月9日は叔父が会場当番ということもあり、有休を取って会場となっている「愛知県芸術センター」で開催されている「日展東海展」へ出掛けて来ました。しかし、当日は生憎の荒天。出掛けようとした朝9時頃から雨模様です。ここはちょっと予定を変更して、急遽車で出掛けることにしました。
当番による作品解説は午後2時からでした。今回は招待券ではなく招待状をもらっていたので伯母夫婦と母親との4人で出掛けることになり、昼は豪華「ひつまぶし」になったという訳です。
日本画第1室直ぐ右手に叔父の作品がありました。ここ暫くは信州は白馬の方へ出掛けており、今年はその山深い農家を題材にしたということです。「やまざと」を検索すると「山郷」と表示されますが、ここは「山里」なんですなあ。山の中にある人里。山の中の村。という意味です。長野の民家は冬は厳しいのですが、家の作りは夏に対応した間取りになっています。画面からもそういう様子が見てとれます。作者の言葉「自然を追い続け、年々少なくなる茅葺の家や素朴な生活の中で感動と愛情をしみじみと感じられる雰囲気に巡り合い、制作しました。」
東海展は地元の作家の作品を中心に展示していることもあり、HPには掲載されていない作品もあります。しかし、その東海展のHPにも小生の目に止まった磯部絢子さんの「棲み家」という作品は中日賞を受賞しているにもかかわらず画像さえ取り上げられていません。何か、裏があるのでしょうか?不思議な扱いです。
で、ここではそういうアイロニーを込めた長谷川喜久さんの作品を貼付けておきます。今年の干支ということもありますが、まさにそれを逆手に取っています。作者の言葉「A県の動物園で猿の取材をした際、その行動があまりにも人間社会のようであることに驚かされた。今作はその印象を大切に制作した。」
今年もあらかじめ日展のHPで予習はしていったのですが、写真で見る印象と実物はやはり違います。この作品は、写真では目に止まらなかった物ですが、会場では惹き付けられました。昨年も、まだら模様の砂利を取り上げていましたが、今年も何の変哲も無い道端の風景ですが、都会の片隅に、ひっそりと息づく植物や小石を、一つ一つ丹念に見つめる眼差しの優しさが、伝わって来る作品です。さすが特選だけあります。
こちらも特選なんですが、HPの写真の印象ではイマイチだった物です。まあ、これは現物を見るに限ります。
ちょいと面白い色使いで注目した作品です。古い水場が描かれていますがタイトルとの関連性は分りません。ただ、青緑の草木の向うの空は俄に曇っているのが観てとれます。前景の水場のしんとした雰囲気がこれから訪れる雷雲を象徴しているのでしょうか。
こちらはHPでも注目していた作品です。直近でも桜島が噴火しましたが、それを彷彿とさせる爆発が見事に描かれています。
モノトーンタッチのダークブルーによる作品です。作品の前に立っていると引き込まれます。
こちらはまた燃えるような赤が印象的な画面になっています。京都随一の紅葉ともうたわれる「東福寺」が題材ですからさもありなんです。
写真では何が何だか解りませんでしたが、大画面で実物を見ると子供たちが遊ぶ公園の俯瞰的なショットという新鮮な主題です。人物の生き生きとした動きがおもしろく、白い地面と木立の淡い影に光への配慮もあり、色彩も絵本の一画面の要でパステル的なタッチです。
椅子が一脚描かれているだけですが、影が左右に揺れています。しかし、ただ揺れているだけでなく飛び跳ねています。影は3次元になっているのです。まさにスゥイングしているんですなぁ。
全国巡回の特選作品は他にもあるのですが、小生のメには特選とは映りませんでした。日展は改組されていますが体質的には保守的で、新しい物へのチャレンジはどうも蓋をしてしまっている様な気がしてなりません。まあ、大家と呼ばれる人がいなくなり小粒になっているせいもあるのでしょうが、作者が毎年同じような題材で、新鮮みが少し足らないようにも思えます。
画像はありませんが、個人的には下記の作品に注目しました。