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バーンスタイン/アントルモン、バルトークのピアノ協奏曲

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バーンスタイン/アントルモン、バルトークのピアノ協奏曲

曲目/バルトーク
ピアノ協奏曲 No.2 Sz.95 (1931)
1. Allegro 9:24
2. Adagio - Piu adagio - Presto 13:07
3. Allegro molto - Presto 6:18
バルトーク ピアノ協奏曲 No.3 Sz.119 (1945)
1. Allegretto 7:49
2. Adagio religioso 10:39
3. Allegro vivace 7:24

ピアノ/フィリップ・アントルモン
指揮/レナード・バーンスタイン
演奏/ニューヨーク・フィルハーモニック

録音/1967/01/19 
  19/67/01/17 フィルハーモニック・ホール ニューヨーク

P:トマス・シェパード

SONY 88843013302-03

イメージ 1
 

 バーンスタインのCBS時代の管弦楽、協奏曲エディションの3枚目です。バルトークのピアノ協奏曲はレコード時代はレパートリーではありませんでした。たぶん、こういうボックスセットを買わなければ手に入れることは無かった曲です。そういうことで、この演奏で初めて接した曲になります。小生のバルトークのレパートリーは「オーケストラのための協奏曲」や「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」ぐらいなもので、その他の曲は全く持っていませんでした。どうも取っ付きにくいところがあるんですよね。でも、時代的にはリヒャルト・シュトラウスとほぼ同時代ですが、オーケストラ作品が多くあるR.シュトラウスは盛んに演奏されていますが、バルトークの諸作品はそこまでメジャーではありません。この差は何なんでしょうね?

 作品の生まれた時代環境がハンガリーとドイツの置かれた環境なんでしょうか。確かにバルトークは管弦楽曲の大作が少ないというハンデがあります。調べてみると、このCDで聴くピアノ協奏曲はバルトークにはありますが、R.シュトラウスには無いんですなぁ。

 バーンスタインもバルトークのピアノ協奏曲第1番は録音していません。まあ、バルトーク本人の言葉によると、「 私の最初の協奏曲は、作風に難しいところはありますけれども、上出来だったと思います。難点といえば、たぶんオーケストラにとっても、聴き手にとっても、非常に難しいというところでしょう。」という事になるんでしょう。

 ところで、ピアノ協奏曲第2番も第1楽章辺りは、弦楽器が登場しなくて、管楽器のけたたましいくらいの華やかな音色を用いたオーケストレーションとピアノの音色の対比が際立つ楽章になっています。この曲初めて聴いた第1印象は、ラヴェルのピアノ協奏曲と雰囲気が似ているなぁという感じがし伸した。この作品1931年に作曲されています。で、ラヴェルのピアノ協奏曲も奇しくも1931年の作曲なんですよ。金管が華々しく活躍し、ピアノがそれに絡むという構造は、この時代の作風の特徴なんでしょうか。

 第2楽章は反対に金管はお休みで、弦楽と若干の木管、そして打楽器による演奏でコラール風の調べが魅力的な楽章です。個人的には、第2番はこの楽章が一番リラックスして聴くことができました。バーンスタインはここでは指定テンポよりも遅いタイミングでオーケストラをドライブしています。そういうところもあるのでよけい聞き耳を立ててしまいます。これとは対照的に第3楽章は早めのデンポで、その対比を鮮やかに描き出しています。

 アントルモンはバルトークはこの2曲しか録音を残していません。1960年代後半の収録ということなんですが、第2番はやや録音が冴えないのがマイナスになっています。演奏はシャープさがあまり感じられませんが、アントルモンのピアノはこの当時としてはかなりアグレッシブな演奏を展開しているのではないでしょうか。

 第3番は、何処となくラフマニノフの香りのする主題で開始されます。一般にバルトークというと無調のようなイメージがあるのですが、この作品はどちらかというと聴きやすい部類に入る作風です。聴かず嫌いであった自分が恥ずかしい思いがします。ただ、ラフマニノフの作品ほどロマン制はありません。ここら辺りがバルトークの個性なんでしょう。録音時期を見ると、第2番に先駆けてこちらが先に録音されています。その点では、両者の掛け合いは余程自信があったのでしょうか、丁々発止の受け渡しが聴き取れます。

 第2楽章のコラールもこちらはより宗教的な色彩を感じさせます。たった2日しか録音時期が違わないのに、こちらの方がバランス的には聴きやすい音質になっています。アントルモンのピアノのタッチもこちらの方が曲を楽しんでいるように感じます。そして、第3楽章はバルトークが生涯を捧げていた民族舞踊風な旋律が高らかに歌い上げられていきます。

 アントルモンのタッチは軽やかで、この作品がバルトークの妻に捧げられていることを意識した演奏になっています。このようにアントルモンは2番と3番をきっちり性格分けして演奏していることを今回初めて聴きとることが出来ました。まあ、このバルトークはアントルモンを聴くもの、でバーンスタインの演奏は2の次なのかもしれません。
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