6日の最終日でしたが、「再興第100回院展」へ出掛けて来ました。今回は会場を2カ所に分割しての大量展示となっていました。前回までが名古屋展だけ展示作品数が少なかったですからね。これで、他会場にひけを取らない規模に少しは近づいたのではないでしょうか。名古屋展では同人作品34点、東海3県出身・在住作家を中心に120点あまりが展示されていました。それでも、全体の入選作品(272)からすると半分以下ですからね。ただ、今回は100回ということで、日本美術院賞(大観賞)は2名という大盤振る舞いでした。入選作品は以下の作品でした。
日本美術院賞(大観賞) 藁谷 実 永遠の彩り
日本美術院賞(大観賞) 武部 雅子 あずける
奨励賞 守 みどり 幕間
奨励賞 染谷 香理 一葉の躊躇い
奨励賞 山本 浩之 道化の休息
奨励賞 西岡 悠妃 記憶の部屋
奨励賞 大矢 十四彦 漁る
奨励賞 加藤 裕子 陽射し
奨励賞 黒澤 正 協奏曲
奨励賞 王 培 山茶花開
奨励賞 山田 伸 在る
奨励賞 ??島 圭史 星と夢
奨励賞 牧野 環 明日も積む
日本美術院賞(大観賞) 武部 雅子 あずける
奨励賞 守 みどり 幕間
奨励賞 染谷 香理 一葉の躊躇い
奨励賞 山本 浩之 道化の休息
奨励賞 西岡 悠妃 記憶の部屋
奨励賞 大矢 十四彦 漁る
奨励賞 加藤 裕子 陽射し
奨励賞 黒澤 正 協奏曲
奨励賞 王 培 山茶花開
奨励賞 山田 伸 在る
奨励賞 ??島 圭史 星と夢
奨励賞 牧野 環 明日も積む
入り口直ぐ右手には同人の西田俊英氏の「森の住人」が展示されていました。モノクロトーンが主体で色彩のコントラストで奥行きを感じさせる作品です。キャプションは次のようなものです。
巨大な樹木の生い茂る太古の森を彷徨い、洞窟に入る。 暗く静かな一隅から見上げる青空の煌めき。 不意に奇声をあげ、その森の住人が舞い降りるかのように飛び去っていった
日のとなりに今度はオレンジ系の色調の藁谷実氏の「永遠の彩り」が展示されていました。画面一杯の建物と錆色の色調が時の流れを感じさせます。
今年は100回ということで原点を懐古する作品が多く見受けられました。その中でもこの一点は見応えがありました。キャプションです。
戦後数年まだ世相も定まらぬ頃、横山大観先生が当時の同人の方々による同人展をデパートの画廊で開かれました。玄皎会と命名され、玄皎(黒・白)の手法・墨を使う課題を出されたのです。日本画の王道を行かんとの意志であったと思います。大観先生は数え90才卒寿の時に亡くなられましたが、私も今年同じ天寿に達しました。(勿論年齢だけのことですが。)ここで、今一度先生の遺志である日本画の王道を歩こうとの新らしい旅立ちを決意し、制作の一端を歩き始めた覚悟です。
とありました。
とありました。
奨励賞受賞作品で、テーマが音楽という事もあるのですが、小生の目に止まった作品です。ただ、この作品本来あるはずの無い構図です。ソリストの位置からすると左端は第1ヴァイオリンですが、右端にはチェロが描かれています。第2ヴァイオリンがもっと右の対向配置にしてもヴィオラがいません。指揮者が描かれていないのですから上手が描かれているとは思えませんから、これは絵画用の構図といえるでしょうね。
ここからは小生がチェックした作品です。現在愛知に在住の愛知県立芸術大学名誉教授の小山氏の作品です。この作品、人気があるのかポストカードが唯一売り切れていました。
長良川の夜、鵜飼が始まります。 伝統のアユ漁だけに見る者に伝わって来る、自然の漁師の姿と漁具の種類の持つそれぞれの美しさに魅せられます。 出来るだけ自然に逆らわず描いてみました。
この岩永氏は毎年ターミナル駅を描いています。2013年は「サン・ラザール駅」がテーマでした。以前は色彩感豊かな作品もあったのですが、最近はモノクロトーンの作品が多くなっています。ヨーロッパの景色は油絵の方が描きやすいかも知れないのですが、あえて不自由さのある日本画の顔料で描くことに挑戦している岩永氏です。油絵に負けない質感で圧倒されました。
実際の作品を目の前にすると、今は引退しているエンデバーの焼けこげた痛々しい実在感が目の前に広がります。
スペースシャトル(エンデバー)を描きました。軌道船の外皮は耐熱タイルで覆われていますが、タイルには様々なサイズがあり、その全てが重要な役割を果たしていることに感動いたしました。 このシャトルは現在その役割を終え、ロサンゼルスにあるサイエンスセンターに展示されております。
最近東京の朝霧が話題になりましたが、それを思い起こさせる海霧です。
和歌山県紀伊半島熊の灘は全国でも寒暖の差が少なく、中でも東牟婁郡串本町田原海岸にて幻想的な海霧が毎年1月終りから2月の初めにて発生します。海霧は山間の冷い空気が古座川に沿って流れ込み海水との温度差で発生します。早朝にはオレンヂ色で美しく輝いて見えます。
モノトーンもこちらは雷光です。これも創造の産物でしょうか、右にタワーが見えますからレインボーブリッジのように思えますが、実際はこの角度では東京タワーは見えません。また、この雷光は確実にビルを破壊する威力がありますから、やはり絵画的構図でしょうなぁ。
これが日本画の真髄なんでしょう。こういう表現は日本画しか出来ないように思います。まるで絵巻物の世界です。
雅なる日本画世界を表わすに欠かせない雪月花というテーマ。長年描いてみようと思っておりました、その実現であります。 洋画風に人物画、風景画、静物画などと分別するのでなく、花鳥画、山水画、歴史風俗画、と言う様に大別される大和絵。その本来の素晴しさをひとことで代表してしまうのが雪月花というテーマではなかろうかと思います。 紅花、柿、菊、藤バカマなど、草木染和紙を重ね張りし、襲(かさね)の色目としてフチ取りしてみました
こちらも和のテイスト満載の作品です。花鳥風月、侘び寂びをこの絵から感じます。
利休が念入りに掃除をさせた庭を見て、紅葉の木を揺すってわざわざ葉を散らした、という有名な逸話があります。丹精された庭に、手入れを控えた伸びやかな枝ぶりの秋草を見つけてスケッチをしました。