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広重・豊国合作「雙筆五十三次」

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広重・豊国合作「雙筆五十三次」

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 現在、UFJ貨幣資料館では『広重・豊国合作「雙筆五十三次」』が開催されています。しかし、今回はあまり見てみたいという気にはなりませんでした。というのも、この企画2011年春にまったく同じものが企画されていました。下がその2011年に企画された際のチラシです。

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 タイトル絵が今回は「岡崎」、以前は「宮」という違いはあっても、裏面に紹介されている錦絵はこの地方のものばかりで、まったく同じです。紹介文もまったく同じで、一字一句違いはありません。こんなもんです。

三代豊国(歌川国貞)が人物を描き、歌川広重が風景を描くという、合作の東海道五十三次です。この組み合せは、嘉永6年(1853)に「豊国にかほ(似顔)、国芳むしゃ(武者)、広重めいしょ(名所)」と評された当時人気の浮世絵師のうちの2名であり、いわばスター浮世絵師の得意分野での競演という趣があります。各宿場あて1枚ずつに、目録1枚を加え、全体で56枚からなります。
 画面上部に広重が宿場の風景を描き、下半分は三代豊国(歌川国貞)が人物を役者絵・美人画とりどりに描いています。人物画は、宿場に関係する風俗や戯曲、故事、説話に取材するものが多く、当時の人々が、各地の風景を「文学的」な関心に添って見ていたであろうことを想像させてくれます。

 ちょっとは切り口を替えても良さそうなのに何の工夫もありません。ちょっとここ最近は開催期間といい企画内容といい手を抜きすぎている様な気がします。そして、解説も豊国の歌舞伎絵については歌舞伎役者の誰それがモデルとか詳しく書かれているのですが、風俗や戯曲、故事については不明という解説で4年経っても進歩していません。吉田のところは高師直で、理由がわからないと書いてあったのですが、よしだといえば地元には吉良吉田ってのもあります。その吉良って言えば吉良の殿様で、それは歌舞伎の忠臣蔵では高師直でないのでしょうか。ちなみに「仮名手本忠臣蔵」に出てくる高野師直は足利尊氏の執事という設定です。今の豊橋の旧名「吉田」にこだわると、この絵は分らないでしょうなぁ。
 
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 さてさて、広重の風景画では非ぬ所で雪景色が描かれますが、この「雙筆五十三次」でも大津が雪景色で描かれています。人物は大伴黒主なんですが、これも不明になっていました。しかし、ここは逢坂の関の積恋雪関扉(つもるこい ゆきの せきのと)として捉えた方がいいのでしょう。こう考えると、広重と豊国は何だか合作を楽しみながら描いていた様が目に浮かびます。

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 小生にとっては2度めのこの展示ですから、以前よりも違った角度で作品を鑑賞出来ましたが、広重に拘るとこういう展示しか出来ないのでしょうかね。無料で楽しんでこんなことを言っては何ですが、残念です。



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