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ムーンライト・セレナーデ/ベルリンフィルの12人のチェリスト

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ムーンライト・セレナーデ/ベルリンフィルの12人のチェリスト

曲目/
1.キャラヴァン 5:06
2.アメリカ 2:17
3.誰も知らない私の悩み 3:13
4.クラップ・ヨー・ハンズ 3:16
5.ピンク・パンサーのテーマ 3:14
6.ムーンライト・セレナーデ 3:45
7.ザ・フラワー・イズ・ア・キー(モーツァルトに捧げるラップ) 7:13
8.プレリュード No.2 5:07
9.アメリカ 2002/イン・メモリアム Part 1 6:57
10.アメリカ 2002/イン・メモリアム Part 2 3:04
11.ディープ・リヴァー 2:50
12.ラグタイム 2:22
13.スペイン 5:22
14.ラウンド・ミッドナイト 5:22
15.サムホエア 2:31

フリューゲルホルン、トランペット/ティル・ブレナー
ヤンネ・サクサラ/コントラバス
指揮/ヘルマン・ボイマー
演奏/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団12人のチェロ奏者

録音/2002/01/02-07 テルデックスタジオ、ベルリン

P:ステファン・ジョンズ
E:マイク・クレメンツ

PHILIPS

イメージ 1
 

 このアンサンブルはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のチェロ・セクション全員で構成されるものです。最初のレコードが発売されたのは1978年、発売はテルデックでした。都合テルデックからは4枚発売されました。途中、BMGにも録音をし、BMGファンハウスからリリースされた‘12人’の演奏による三枝成彰編曲のCD〈悲しみのビートルズ〉、続く94年リリースの《荒城の月》などが含まれた〈泣きたいだけ泣いてごらん...日本の歌〉はヒット作となっています。そして、2000年からレーベルがEMIに替わり2010年までにこれまた4枚発売されています。そして、この「ムーンライト・セレナーデ」はEMIから発売された2枚目のアルバムで2002年の録音です。デューク・エリントンからバーンスタイン、それにセロニアス・モンクまで多彩なアメリカのジャズ、ポピュラー・ソングを集め(三枝成彰作品もあります)、リラックスした楽しい演奏が展開されます。

 そもそもこういうアンサンブルが結成されたルーツは、1966年のベルリンフィル日本公演旅行中、チェロカルテットがNHKなどで演奏したのがきっかけとなり活動を開始しています。さらに1972年にはオーストリア放送協会の依頼により、ザルツブルクでクレンゲルの《讃歌》を演奏した際、ベルリンフィル12人のチェリストたちを名乗り、正式に誕生しました。この12人の完全プログラムによる最初の公演は、ヨーロッパではなく、日本の早稲田大学大隈講堂で73年10月26日に行なわれました。この年、彼らのために作曲された最初のオリジナル作品であるボリス・ブラッヒャーの《ブルース、エスパニョーラ、ルンバ・フィルハーモニカ》は、ここで初演され、世界に羽ばたいていったのです。下の写真は現在のメンバーです。

イメージ 2


 で、レーベルがEMIに変わったことにより、EMIはこのアンサンブルを積極的にプロモーションします。そんなこともあり、制作されたのがこの年にZDF/arteで制作された「12 Cellists of the Berlin Philharmonic 」というドキュメンタリーです。冒頭の曲は、EMI製作第1弾となる〈South American Getaway(邦題 : ブラジル風バッハ)〉のタイトル曲です。


 このアルバムには全部で15曲収録されていますが、最後の曲は日本盤だけのボーナストラックです。上の映像でも、ムーンライトセレナーデは演奏されていますが、なかなか渋いアレンジで、切々と演奏されています。全体ではこんな感じです。

 

 ところで、2002年は、この年ベルリンフィルのシェフはアバザからラトルにチェンジしています。上の映像ではシェーンベルクを指揮するアバドのシーンが含まれていますが、このCDではラトルがこの12人のチェロ奏者と共演して、なんとラップを披露しています。その曲は、7曲目のザ・フラワー・イズ・ア・キー(モーツァルトに捧げるラップ)で、タイトル通り、ラトルがラップで参加しているんです。この曲はメキシコの作曲家&指揮者のセルジオ・カルナンデスがアンサンブルの為に書き下ろした作品で、形はモーツァルトへの讃歌ということになっています。カラヤンと違って美声のラトルですが、やや控えめの声が惜しまれます。

 アルバムとしてはポピュラーな名曲とこのような晋作を盛り込んでいて意欲的なものに仕上がっています。新作といえば、12曲目の「ラグタイム」も三枝成彰の作曲でこのアンサンブルの為に書かれたものです。ラグタイムはスコット・ジョップリンで知られた音楽ですが、そのイメージで聴くとちょっと失望します。それよりも、タイトル曲のジャズをアレンジした作品の方がこのアルバムの聴きものでしょう。チック・コリアのスペインもなかなかのアレンジで楽しめます。ポピュラー路線ならマンシーニの「ピンク・パンサー」でしょうかね。

                    

 ところで、このアルバム。肝心の12人のチェロ奏者のメンバーは記載されていません。ライナーがいい加減なんですな。ボーナストラックよりも、もっとしっかりしたライナーノートを付けてもらいたいものです。結局、ラトルのラップもどういう内容なのか対訳がありません。こういうことでは国内盤の意味が無いですわな。ということで、このアルバム当時の12人のメンバーです。
Ludwig Quandt
Martin Löhr
Olaf Maninger
Richard Duven
Christoph Igelbrink
Rachel Helleur
Solène Kermarrec
Stephan Koncz
Martin Menking
David Riniker
Nikolaus Römisch
Dietmar Schwalke
Knut Weber




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