翻訳 本田佐良
発行 スペースシャワーネットワーク
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」3部作のすべてを、製作日誌やデザイン画、絵コンテ、公式写真とともに詳細に解説。マイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイドによる序文も掲載する。---データベース---
昨年の10月21日にも「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の未来の日ということで、記事を取り上げましたが、こういう本まで発売されていたとは知りませんでした。この本の初版の発売日はその2015年10月21日です。
何が凄いかって、今はパーキンソン素病を患ってほとんど活動していないマイケル・J・フォックスがコメントを寄せているし、ドクことクリストファー・ロイドが序文を書いています。ただ、完全大図鑑というのはちと大げさで、「THE ULTIMATE VISUAL HISTORY」と原タイトルにあるように歴史事典のような内容です。
PART ONE(ボブとボブが出会ったとき…/バック・トゥ・ザ・ビギニング ほか)
PART TWO(戻ってきてくれなくちゃ!/脚本の問題だよ、ボブ! ほか)
PART THREE(西部へ/飛行機、列車、デロリアン)
AND BEYOND(バック・トゥ・ザ・フューチャー・ザ・ライド
『バック・トゥ・ザ・フューチャー:ザ・アニメシリーズ』
PART TWO(戻ってきてくれなくちゃ!/脚本の問題だよ、ボブ! ほか)
PART THREE(西部へ/飛行機、列車、デロリアン)
AND BEYOND(バック・トゥ・ザ・フューチャー・ザ・ライド
『バック・トゥ・ザ・フューチャー:ザ・アニメシリーズ』
この作品は、当初は主演がマイケル・J・フォックスで無かったことは知っていましたが、本では最初の主役だったエリック・ストルツで既に7週間分も撮影が進んでいたことを初めて知りました。この本でも、その撮影の7週間分に彼が登場しています。冒頭のツインパインモールのシーンはエリック・ストルツとクリストファー・ロイドで撮り終わっていたことがここで明らかにされます。
マイケル・J・フォックスが登場するのは撮影がほぼ半ばまで進行している状態でした。そんなこともあり、映画ではマーティがリビア人の発砲を受け、デロリアンに飛び乗るシーンはエリック・ストルツの映像を使用しているということです。この映画、実際にはごたごたはそれだけでは無かったようで、当初はジェニファー役(マーティの恋人)に決まっていたのはクローディア・ウェルズだったのですが、撮影開始が遅れたためにスケジュール調整が出来なくなり、メロラ・ハーディンがストルツと共演していました。ところがフォックスがマーティ役となったため二人のバランスが合わないことが原因で降板となり、ふたたびクローディア・ウェルズが復帰するということに落ち着いています。
母親役のリー・トンプソンは安泰でしたが、父親役のクリスピン・グローヴァーは自分の演技に固執しすぎて監督を困らせたようでパート1は彼で通せましたが、パート2ではギャラを2倍要求したので決裂し、最終的には彼は殺されたことになってしまっています。実際1955年に戻るシーンがあるパート2では流用シーンでは彼が映っていますが、新しくジェフリー・ウェイスマンが演じています。そういえば第2作ではマーティの恋人もクラウディア・ウェルズからエリザベス・シューに変わっています。これは第1作の撮影中から母親が癌と診断され女優業を続けるつもりが無かったからだといわれています。
それにしても、マイケル・J・フォックスは当時のテレビ番組「ファミリー・タイズ」と掛け持ちでの収録で、衣装合わせも満足に出来なかったらしく、マーティが履いていたナイキのスニーカーはフォックスの私物だったそうです。ただ、撮影時には既に「ナイキ・ブルーイン」は生産を終了していたということで、急遽オーダーメイドで25足が用意されたということです。それもナイキの協力の下に無償で提供されたといいます。ですから、第2作の自動で靴ひもが締まるシューズもナイキだったんですなぁ。下の写真の赤のラインの入ったシューズが「ナイキ・ブルーイン」です。
この3部作、パラドックスが一杯で、過去をいじると未来がコロコロと変わります。そのパラドックスの部分が下記の映像になります。この深海パーティのシーン、実際には新しく撮影しているんだそうで、微妙に動きが違いますが分るでしょうかね。
この本第1作から第3作までの製作秘話がぎっしり詰まっています。既に絶版の様で、定価4800円の本がAmazonでは6480円になっています。