曲目/
ベルク/ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」
1. Andante-Allegretto 10:19
2. Allegro-Adagio 15:10
バルトーク
ヴァイオリンとオーケストラのためのラプソディ 第1番 Sz.87
1. Lassú 4:45
2. Friss 5:15
ヴァイオリンとオーケストラのためのラプソディ 第2番 Sz.90
1. Lassú 4:42
2. Friss 6:25
アイザック・スターン(Vn)
指揮/レナード・バーンスタイン
演奏/ニューヨーク・フィルハーモニック
演奏/ニューヨーク・フィルハーモニック
録音/1959/12/06
1962/04/16 マンハッタンセンター ニューヨーク
1962/04/16 マンハッタンセンター ニューヨーク
P:ジョン・マックルーア、ハワード・スコット
SONY 88843013302-05
バーンスタインのCBS時代の管弦楽、協奏曲エディションを頭から聴いていますが、バルトークとかベルクは難所です。今回は5枚目ということでベルクの登場です。作曲家というスタンスですからもう少しベルクの作品を録音しているかと思ったのですが、意外にもバーンスタインはベルクはこのCDに収録されているヴァイオリン協奏曲しか録音していません。多分アイザック・スターンとのこの時期の一連の録音として取り上げられた物のようで、バーンスタインから積極的にレコーディングされた物ではないように見受けられます。[http://home.t08.itscom.net/iwalin/discography/ha.html彼のディスコグラフィ}で確認すると、1961年に「管弦楽のための3つの小品」を演奏しているのですが、そちらはセッション録音していませんからね。
このヴァイオリン協奏曲、「ある天使の思い出に」という副題が付いています。このある天使はアルマ・マーラー(マーラーの未亡人)とヴァルター・グロピウス(バウハウス創立者)の子、マノンです。ベルク夫妻はマノンを非常に可愛がっていたのですが、19才の若さで病に倒れてしまったのです。そこで、ベルクは当時作曲していた歌劇「ルル」を中断して、この作品に取りかかったのでした。もともとは、ヴァイオリン奏者ルイス・クラスナーに協奏曲を委嘱されていたものですが、放置されていたものです。
そういう経緯があるので、作品はレクイエムともいえる内容になっています。ここでは無調ながら第1楽章の前半はマノンの幼少時代のあどけない可愛らしさ、民謡をモティーフにした後半では彼女の過ごした楽しい日々が振り返られている要ですが、小生には12音技法のもつ不安定なメロディにしか聴こえません。でも、ここで聴かれるアイザック・スターンの演奏は昔から名盤と謳われていたようで、1970年代まではほとんど唯一無二の録音だったようです。ここでの演奏は上記のテーマに沿ったドラマを上手く演出している物で、そういう点では構成的にしっかりした演奏です。
第2楽章は、カデンツァ風に始まり、激しいヴァイオリンはマノンの病との闘い・苦しみを描き出しています。そして、恐ろしい程の病魔と慟哭、そしてマノンの死、昇天されて音楽は終わります。ベルクはプロテスタントでしたから、この第2楽章でバッハのカンタータ第60番からの引用が用いられています。このコラールの部分を訳すと、
満足です、主よ、もしよろしければ、わたしのくびきを外して下さい! わたしのイエス様が来ます、おやすみ、この世界よ! わたしは天の家に行きます、もう何も思い残すことなく安心して行くことができます、わたしの大きな苦痛はこの世に残して。 満足です、満足です
満足です、主よ、もしよろしければ、わたしのくびきを外して下さい! わたしのイエス様が来ます、おやすみ、この世界よ! わたしは天の家に行きます、もう何も思い残すことなく安心して行くことができます、わたしの大きな苦痛はこの世に残して。 満足です、満足です
という事になるようです。まさに、レクイエムですな。処でこの録音なかなか良いマスタリングで蘇っています。まあ、CBSの音自体が昔からややハイ上がりで収録されていて、本当にRIAA曲線になっているのかなと。レコード時代にも疑問に思っていたのですが、こういう現代作品だとそれがプラスに作用しているのかもしれません。スターンのヴァイオリンもいつもながらの骨太の音で、それを支えるニューヨークフィルハーモニックもこの時代は五大オーケストラの一翼を担っていましたから、良いアンサンブルで応えています。
ところで、このアルバムで聴きものは、おまけとして入っている(?)バルトークのヴァイオリンとオーケストラのためのラプソディです。何れも初めて耳にする作品ですが、これはバルトークの作品の中でも聴きやすい部類に入るのではないでしょうか。これを聴くとバルトークがコダーイと同時代の作曲家であったことが如実に解ります。ここでは民族楽器のツィンバロンが使われ、まさに民謡を採譜していたバルトークの真骨頂というべき物を聴くことができます。ただ、YouTubeで「バルトーク/ヴァイオリンとオーケストラのためのラプソディ」で検索してもヴァィオリン協奏曲が表示されてしまい、まともに検索出来ません。ただし、英語で検索をかけると一発で検索出来ます。というとこは日本ではマイナーな作品ということなんでしょうねぇ。
googleの検索も同じようで、「バルトーク/ピアノと管弦楽のためのラプソディ」とか「バルトーク ヴァイオリン協奏曲第2番 」が表示されてしまいます。まあ、バルトークはgoogleも苦手ということなんでしょうかね。(^▽^

26 36a ラプソディ 1904 pf 2台ピアノ版あり
27 36b ピアノと管弦楽のためのラプソディ 1904 pf,Orch Sz.26の編曲
86 94a ラプソディ第1番 1928 vn,pf
87 94b ラプソディ第1番 1928 vn,Orch Sz.86の編曲
88 94c ラプソディ第1番 1929 vc,pf Sz.86の編曲
89 96a ラプソディ第2番 1928 vn,pf 1944年改訂
90 96b ラプソディ第2番 1928 vn,Orch
27 36b ピアノと管弦楽のためのラプソディ 1904 pf,Orch Sz.26の編曲
86 94a ラプソディ第1番 1928 vn,pf
87 94b ラプソディ第1番 1928 vn,Orch Sz.86の編曲
88 94c ラプソディ第1番 1929 vc,pf Sz.86の編曲
89 96a ラプソディ第2番 1928 vn,pf 1944年改訂
90 96b ラプソディ第2番 1928 vn,Orch
という作品が存在するので、こんがらがってしまいます。まあ、googleが混乱するほどこれらの作品はマイナーだという証拠でしょう。でも、第2番も楽しい曲です。こちらはハープの和音で始まるということではヴァイオリン協奏曲と同じです。それでも、親しみやすい舞曲の旋律ですから聴きやすいです。コンサートで取り上げられないのは編成が特殊だからなんでしょうかね。
ベルクは自分の中ではまだちょっと難解ですが、バルトークのこれらの作品ならもっと聴きたいと思わせてくれます。