日展東海展-洋画 |
日本画でも書きましたが、作家が同じテーマで作品を制作することが多くなっていますが、その代表といえるのがこの伊藤寿雄氏の「母の像」でしょう。毎年同じテーマで下記継がれています。構図も昨年とほぼ変わりません。変わったのは車いすでしょうか。そして、バックに描かれているマンホールの蓋からここが名古屋市であることが解ります。
コチラも毎年人形浄瑠璃を題材にした作品を描き続けています。昨年はバックがブルー、今年はダークグリーンという違いはありますが、もうそろそろ変化が欲しい物です。
和物ではこちらが存在感がありました。花魁という存在自体は今はもうありませんが、洋画の部屋の第1室に早々と掲げられていてギャラリーを惹き付けていました。さすが特選の作品だけあります。
艶やかな花魁とバックの山水画の屏風が対照的です。
もう一つ特選の中で目を引いたのが、この「港の風景」です。荒々しいまでのタッチで描かれた漁船は漁から帰って一時の休息を取っているのでしょうか。画面からは北海の冬の海の厳しさがひしひしと伝わって来ます。
作者が毎年インドに旅をして取材した作品で、赤い画面の中に荷物を運ぶ牛車の後ろ姿と右端のトラックの車輪が長いインドの歴史を感じさせます。また、画面の1/3を締める赤い大地は無抵抗主義で近代インドを築いたガンジーへのオマージュなのでしょうか。赤はインド独立の象徴でもありますからね。
のどかなこの港は地中海地方の風景でしょうか。少年と犬、それを見つめるお婆さんが描かれているだけで、明るいタッチの画面で午後のけだるさが伝わって来ます。
洋画では人物を描かれる割合が高いのですが、この作品は現代の女性と古の平安時代の平等院の本殿壁面を飾る天女の楽土とを重ね合わせて時の流れの悠久さを描いています。落ち着いた色合いの中に女性の凛とした気品が感じられます。
今回の出品作の中で一番油絵らしい作品と感じた作品です。緻密な描写ですが、どこかメルヘンチックな印象もあります。いってみれば、ひょっこりひょうたん島のような島なのかも知れません。
この地方の作品では以下の作品に注目しました。こういう作品は地方展でしか見ることが出来ませんから是非足を運んで観賞して下さい。期間は2月14日までです。