23:30~ - バースデーコンサート -
合唱幻想曲ハ短調 作品80 (ベートーベン作曲)
ソプラノ:リディア・トイシャー、三宅理恵
アルト:ヴィルジニー・ヴェレーズ、ナタリー・シュトゥッツマン
テノール:福井敬、ジャン・ポール・フーシェクール
バリトン:マティアス・ゲルネ
ピアノ:マルタ・アルゲリッチ
合唱:OMF合唱団
管弦楽:サイトウ・キネン・オーケストラ
指揮:小澤征爾
合唱幻想曲ハ短調 作品80 (ベートーベン作曲)
ソプラノ:リディア・トイシャー、三宅理恵
アルト:ヴィルジニー・ヴェレーズ、ナタリー・シュトゥッツマン
テノール:福井敬、ジャン・ポール・フーシェクール
バリトン:マティアス・ゲルネ
ピアノ:マルタ・アルゲリッチ
合唱:OMF合唱団
管弦楽:サイトウ・キネン・オーケストラ
指揮:小澤征爾
12日(月) 0:04~ ― オペラ 「ベアトリスとベネディクト」(ベルリオーズ作曲) ―
ヴィルジニー・ヴェレーズ (ベアトリス)
ジャン・フランソワ・ボラス (ベネディクト)
リディア・トイシャー (エロ―)
エドウィン・クロスリー・マーサー (クラウディオ) ほか
合唱:OMF合唱団
管弦楽:サイトウ・キネン・オーケストラ
指揮:ギル・ローズ
演出:コム・ドゥ・ベルシーズ
ヴィルジニー・ヴェレーズ (ベアトリス)
ジャン・フランソワ・ボラス (ベネディクト)
リディア・トイシャー (エロ―)
エドウィン・クロスリー・マーサー (クラウディオ) ほか
合唱:OMF合唱団
管弦楽:サイトウ・キネン・オーケストラ
指揮:ギル・ローズ
演出:コム・ドゥ・ベルシーズ
12日(月) 2:02~ ― オーケストラコンサート ―
1)管弦楽のための協奏曲 (バルトーク作曲)
2)交響曲第2番 ニ長調作品36 (ベートーベン作曲)
管弦楽:サイトウ・キネン・オーケストラ
指揮:1)ロバート・スパーノ 2)小澤征爾
1)管弦楽のための協奏曲 (バルトーク作曲)
2)交響曲第2番 ニ長調作品36 (ベートーベン作曲)
管弦楽:サイトウ・キネン・オーケストラ
指揮:1)ロバート・スパーノ 2)小澤征爾
10月11日(日) 23:30~12日(月) 3:25 (BSプレミアム)
10月11日の深夜、NHK-BSで「2015セイジ・オザワ 松本フェスティバル」のコンサートの模様が放送されました。今回は大盤振る舞いで、NHKの有働アナとのトークを挟んでの小沢氏との会話も盛り込まれていました。
また、これに先立ち11日の昼12時からは「マエストロ・オザワ80歳コンサート」というドキュメントも放送されました。ドキュメントということで、バースデー・コンサートのハイライトと今年から名前を変えたフェイティバルの心意気なんかをこちらも有働アナとの対談形式で構成されていました。このバースデーコンサート、小澤氏がかつて助手を務めた大作曲家/指揮者レナード・バーンスタインの「キャンディード序曲」で16時にロバート・スパーノ指揮サイトウ・キネン・オーケストラの演奏でスタート。この演奏の合間にはビデオの上映が挟まれ、マエストロのこれまでの人生を映像で追うことが出来る構成となっていました。また、後半では様々な知り合いたちからのメッセージ・ビデオが上映され、ボストン・レッドソックスの選手や、ウィーン国立歌劇場管弦楽団、サンフランシスコ交響楽団、ボストン交響楽団などのメンバーからのメッセージが楽曲演奏の合間に次々と流れ、いかにマエストロが広く愛されているかを感じさせてくれました。中でもベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と首席指揮者ラトルからは朝9時集合で撮影されたという「ハッピー・バースデー(編曲:ストラヴィンスキー)」の演奏が流され、会場から喝采がおきていました。
さて、このバースデーコンサートからはベートーヴェンの「合唱幻想曲」が小沢征爾氏の指揮で演奏された部分が放送されました。まあ、お祝いコンサートということでリラックスしているかなと思ったら、とんでもない。ピアノのアルゲリッチは冒頭からコチコチのようで、冒頭のピアノソロをちょっと変わったリズムで弾くというへんてこな演奏になっていました。
また、明らかに途中からテンポがどんどん速くなっていって、小沢氏がそれをコントロールするのに必至になっている様が映し出されていました。多分リハーサルとはまったく違うテンポになっていたのでしょう。それでも、合唱が登場する所からは何時ものようにしっかりと音楽を手中に収めた演奏になり、きっちりと纏めていた所はさすがです。
ところで深夜の放送ということで、録画はしてありますがオペラはまだ視聴していませんので割愛します。
サンなことで、リアルタイムで聴いたオーケストラコンサートに飛びます。多くの非とはこの放送で指揮者のロバート・スパーノ氏を初めて見たのではないでしょうか。ロバート・スパーノは小沢征爾篠本でボストン響で副指揮者を務めていた人物で、現在はアトランタ交響楽団の常任を2001年から務めています。映像ではでっぷりとした体格をしていますが、副指揮者時代はかなり痩せていたそうです。そんなエピソードがピエール・モントゥーを引き合いに小沢氏の口から語られていたのが印象的でした。
指揮ぶりは見ての通り、非常に解り易いもので、太っている割にキビキビとした動きで小沢氏の教えを忠実に実践しているようです。曲目がオーケストラのための協奏曲ということで、ソリストの活躍が目だつ曲です。中でも一番目だっていたのはオーボエのフィリップ・トーンドゥル氏でしょう。宮本文昭氏が抜けたアナをきっちりとフォローしています。いや、男前では宮本氏を抜いていますわな。フルートはおかっぱ頭のジャック・ズーン氏、黒いフルートがトレードマークです。そしてホルンのラデク・バボラーク氏もまた目だっていました。彼がいると金管が引き締まります。このように管楽器には世界に名だたるプレーヤーが勢揃いしています。こういう奏者がソロをとるのですから聴きごたえが無いわけはありません。
サイトウキネン・オーケストラの特色はやはり弦です。このセクションはほぼ日本人で、それこそサイトウメソットで鍛えられたメンバーです。メンバー表を見てもヴァイオリンにジュリアン・ズルマンの名前が伺えるだけです。こうして繰り広げられる名人芸のサウンドですから悪かろうはずがありません。ただし、指揮者の資質はそのサウンドに如実に跳ね返っています。スパーノ氏の指揮はいい意味で誠実な音楽ですが、それは音楽的な膨らみがやや物足りなさを覚えました。バルトークはこの曲でショスタコーヴィチへのアイロニーを込めていることから分るように、少しシニカルに演奏した方が曲想がはっきりするというものです。そう言う所の表現がちょっと不足しているかなという演奏に聴こえました。
さて、メインは小沢征爾指揮するベートーヴェンの交響曲第2番です。これは当初予定されていたブラームスの交響曲第4番から変更されたものです。このプログラムの変更は指揮者の体調を考慮してのものということですが、多分80歳のバースデーコンサートの時の指揮でまだ回復が思わしくないことが分ったのでしょう。変更は9月3日に急遽されています。コンサートまでは僅か3日しかありません。ろくにリハーサルが出来ない状況であったことは否めません。もともと、このサイトウキネンは水戸室内管弦楽団のメンバーと重複している所があります。そんなことで、今年の5月に水戸室内管弦楽団と演奏したこの曲が選ばれたのでしょう。これならそれほどリハーサルをしなくても本番に臨めますからね。
まあ、そんなことで選ばれた曲でしょうが、演奏は実に見事です。
まあ、そんなことで選ばれた曲でしょうが、演奏は実に見事です。
コンサートマスターは矢部達哉氏で多分レベルは水戸室内管弦楽団よりは格段に上がっているはずです。オーケストラの配置はオーソドックスなもので第1、第2ヴァイオリン、チェロ、ビオラで右奥にコントラバスという配置です。だまたま、この9月にはブロムシュテットがN響とこの曲を演奏していました。そして、その演奏も10月11日に放送されていましたから、いやがうえでも聴き比べてしまいます。こちらの方は第1、チェロその奥にコントラバス、ヴィオラ、第2という配置で俗にいう両翼配置でした。まあ、ホールは違うし一概に同列で比較は出来ませんが、余りの違いにびっくりしたものです。N響とブロムシュテットはかなり、鋭角で重厚なベートーヴェンを描き出していました。テンポはどちらかというと遅めで、N響らしいどっしりとした響きでした。びっくりしたのはブロムシュテットもいつの間にか指揮棒を使わないで両手で指揮をしていたことです。年を取ると省エネ的指揮で指揮棒を使わなくなるのでしょうかね。
本命の小沢征爾/サイトウキネンの方はキビキビとしたテンポで小沢氏が枯れていないことを印象づけてくれました。確かに1楽章ことに休憩のため指揮台を降りて、水を飲みながらの痛々しい光景を目にすると、音楽が枯れてしまったかのような印象を持ってしまいますが、あにはからんや、ひとたび指揮台に登ると実に若々しいテンポで青年ベートーヴェンの溌溂とした音楽が鳴り響いて来ます。それは、多分国内最高の弦のアンサンブルから生み出される極上のサウンドと相まって、音楽が活き活きとしています。それは、リアルタイムのブログでも書いたように、バルトークの演奏の時とは明らかに違うサウンドです。これこそ、オーケストラは水を得た魚という表現がぴったりの演奏です。指揮者から見れば魚心あれば水心というもので、お互いがお互いの意思を理解し相乗効果でより高次元の音楽を引き出しているのでしょう。
個人的にも、今まで聴いたベートーヴェンの交響曲第2番の演奏の中で最高のものであった気がします。