曲目/
1.パッヘルベルのカノン 3:01
2.愛の挨拶 2:54
3.シチリアーナ 2:39
4.夢のあとに 2:46
5.ペールギュント組曲より「朝」 2:37
6.アンネンポルカ 3:39
7.ジュ・トゥ・ヴ 2:32
8.主よ人の望みの喜びよ 2:55
9.トロイメライ 2:41
10.舞踏への勧誘 6:50
11.雨だれの前奏曲 6:42
12.G線上のアリア 4:36
編曲、指揮/島津秀雄 1-11、林紀人 12
琴/絹の会
チェロ/矢島富雄 2
リコーダー/高桑英世 3
シンセサイザー/向井寛 4.8
コールアングレ/庄司知史 5
チェロ/矢島富雄 2
リコーダー/高桑英世 3
シンセサイザー/向井寛 4.8
コールアングレ/庄司知史 5
P:好田輝之
E:後藤博
E:後藤博
録音/1992/03/23 赤坂コロムビア第1スタジオ 12
1992/02/25 赤坂コロムビア第2スタジオ 11
2006/12/21、2006/12/26 サウンドインスタジオBスタジオ
1992/02/25 赤坂コロムビア第2スタジオ 11
2006/12/21、2006/12/26 サウンドインスタジオBスタジオ
日本コロムビア COCJ-34303
先日、琴のアンサンブルによる「四季」を取り上げましたが、好評のようでアクセス数がアップして、本日66万アクセスを突破いたしました。そんなことで、2匹目のどじょうをねらって、「琴カンタービレ」を取り上げることにしました。このCDの発売は2007年の5月の発売で、タイトルからも分るように2006年にヒットしたテレビドラマの「のだめカンタービレ」のパクリです。差の沿い録音されたのは1-10の楽曲で、最後の2曲は以前のアルバムからのチョイスです。琴のアルバムは結構出ているようですが、クラシックの楽曲を琴で演奏したものは、東芝のシリーズとこのコロムビアのものが殆どのようです。サウンド的には琴だけによるアンサンブルでは中々難しいところもあるようで、このアルバムでも数曲は他の楽器が加わっての演奏になっています。その点、東芝の「琴ニューアンサンブル」のディスクに比べて、ややタイトル負けしているところが感じられます。演奏時間もトータルで40分弱とCPとしてはかなり落ちます。たいとるこそパクっていますが、ここで演奏されている曲はのだめとはまったく関係ない曲で、まあ選曲がいいから良しとしますか。最大編成は琴8面(8.10曲のみ)による演奏ですが、大抵の曲は琴が5面の編成で演奏されています。
トップに収録されているのはバッヒェルベルの「カノン」です。原曲がカノンということで、ここでは琴一面づつがそれぞれのメロディを演奏していきます。まあ、原曲をあまりいじってないので聴きやすい演奏です。
2曲目のエルガーの「愛の挨拶」ではたしかにチェロが使われていますが、ほとんどユニゾンを支える通奏低音で気な役割で使われており、ほとんど目立ちません。そういう意味では3曲目のシチリアーナでも同様でリコーダーは主旋律を吹くことは殆どありません。それよりも、12弦の琴がハープよろしく低音部を支えていて、琴の響き全体にまろやかさがプラスされています。
そのサウンドのまろやかさは、「夢のあとに」でも同様で、ここでは控えめなシンセサイザーがヴァイオリンを模したアンサンブルで琴の響きを際立たせています。それに反して、ペールギュントの「朝」ではそういう繊細さがない響きになってしまっていて、やや失望のアレンジでした。これに続く「アンネンポルカ」も選曲のセンスはいいのですが、そもそものワルツのリズムがいかされていないのでどうにも中途半端な響きと演奏になってしまっています。
それに反して、意外と楽しめたのが「ジュ・トゥ・ヴ」です。サティの音楽は不思議な魅力を持っているようで、癒し系の音楽の元祖ともいえるのですが、ここでは琴にギターのような響きを要求していて、それがいい味を出しています。
シンセサイザーの採用で成功しているのは「主よ人の望みの喜びよ」でしょうか。ここではシンセに合唱のパートを受け持たせているので、琴は主旋律を奏でることに集中出来ているのでバッハの対位法が生きています。
琴の響きはバロックには適性がありますが、ロマン派の音楽にはちょっと苦しいところがあるようで、「トロイメライ」ではシンコペーションのかけ方が琴には難しいのでしょうか、リズムが単調になっているのが惜しまれます。このアルバムの中では一番長い「舞踏への勧誘」もリズムの処理が単調で、ただ譜面を音にしているといった印象でメロディが流れているのが耳についてしまいます。
ピアノ曲のアレンジのショパンの「雨だれ」は、琴3面による演奏で、右手と左手を一面づつに振り、もう一台は左手に音階に和音を重ねるという使い方で演奏しています。リズムがちょっと重たいのが難点ですが、中々興味深い響きを引き出していて面白い演奏になっています。
さて、最後はやっぱりバッハの作品で締められています。冒頭から琴にトレモロ奏法を要求した編曲は、面白い効果を生み出しています。やはりバッハの音楽は懐の広い多様性を内包しているのでしょうか。ここでも、琴3面による演奏で、淡々として素朴ながら味わい深い響きです。アンサンブルで重ねるよりも、この3面ぐらいの演奏の方が町万里があって安心して聴くことができます。
巷では、この琴によるクラシックの名曲の演奏は結婚式でかなり使われているそうで、ポップスの曲の演奏よりも、やはり気品があるのが好まれる理由なのでしょうかね。